この研究は、ゴルジ体によるタンパク質の分泌方向制御の仕組みを解明することを目指している。平成18、19年度にわたる研究計画のうち、平成18年度は、ショウジョウバエeye imaginal discの視細胞R8におけるゴルジ体の空間的分布やゴルジ体が含有する酵素等の決定など基礎的な情報を得て、細胞内における分泌性タンパク質の詳細な追跡に繋げていくことを予定していた。 ショウジョウバエeye imaginal discでは、8個の視細胞が密着して一つの個眼を形成している。この研究を進めるには、隣接して存在する視細胞の中から視細胞R8を区別して認識する必要がある。そこで、ショウジョウバエでよく用いられ、特定の時期、組織において目的のタンパク質を発現させることができる、Ga14-UASシステムを使用して、視細胞R8のみにおいて、ゴルジ体局在タンパク質にGFPを融合したキメラタンパク質を発現させて解析を行った。その結果、R8においてゴルジ体は、核に隣接してapical側とbasal側に位置する傾向が強いことが観察された。加えて、R8細胞においてGFPを発現させてR8細胞をマーキングした上でゴルジ体含有分子に対する免疫抗体染色を行ったところ、ゴルジ体の上記の様な分布傾向が確認された。 視細胞R8におけるゴルジ体の詳細な空間分布や性質に関する情報は確立されつつあり、平成19年度に予定しているゴルジ体と微小管の位置的関係とタンパク質分泌方向との関連の解明に展開できると思われる。
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