進化の原因の一つとして、発生調節遺伝子の発現調節メカニズムの変化が重要視されている。本研究では発生調節遺伝子wnt8の転写制御領域に注目し、その構造と機能の進化の関係を解明することをめざした。研究の結果、(1)特殊な発生をするウニと典型的な発生をするウニの間でwnt8遺伝子の発現パターンが異なること、(2)発現パターンの違いにもかかわらず、それぞれの遺伝子の転写調節領域は基本的に同じ機能を保持していること、(3)転写調節領域そのものの構造的変化よりも、この領域と相互作用する転写調節因子に起きた変化が遺伝子発現パターンの進化の過程で重要であった可能性が示唆された。
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