研究概要 |
骨組織の非コラーゲン性細胞外基質を構成する骨シアロタンパク質(BSP)は、石灰化を促進する分子として知られているが、本研究ではBSPが骨分化シグナルを調節する因子としての機能を持っかどうかについて検討を行った。BSPの過剰発現を行うために、C-末端にHAタグを付加したBSPの発現ベクターを作製した(pcDNA3-BSP-HA)。そのベクターをマウス頭蓋骨由来骨芽細胞株MC3T3-E1にトランスフェクションしたところ、BSP-HAタンパク質は、培養上清中に、分子量約75kDaで検出された。BMP, Wntは骨芽細胞分化を促進し、TGF-Bは骨芽細胞分化を抑制する成長因子であることが知られている。BSPがそれらの成長因子の活性に影響を与えるかどうかを調べるために、BSPをトランスフェクションしたMC3T3-E1を、300ng/ml BMP2,50 ng/ml Wnt-3a,5ng/ml TGF-B1で処理した。活性の測定には、それぞれ7xBRE-1uc, TOPFLASH,(CAGA)12-lucレポーターコンストラクトを用いた。その結果、BSP-HAの有無で、各成長因子に対するレポーターの反応性に有為な差は認められなかった。今後はBSPと他の増殖因子との関連性を調べていくと同時に、BSPノックアウトマウスを用いて、BSPによって活性調節される成長因子や発現調節を受ける遺伝子をマイクロアレイによって探索する予定である。
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