<誘導における応答能の制御> 間充織誘導において、誘導シグナルであるFGFと内在性応答能因子であるMacho-1がどのように相互作用して組織特異性を生み出すのかという問題に対して、FGFシグナルにより活性化される転写因子EtsとMacho-1が、間充織特異的遺伝子の転写調節領域上にそれぞれ結合し転写を制御するこどで、両者の情報が統合される、というノ仮説を立てている。そこで本年度は、間充織特異的遺伝子であるtwist-like転写因子遺伝子の転写調節領域をマボヤゲノムよりInverse PCR法を用いて単離し、この領域約1.1 kbを含むプロモーターコンストラクトを作成した。このコンスシトラクトを胚に導入して、レポーター遺伝子であるLacZの発現をin situ hybridization法により検出したところ、尾芽胚において非常に強いジグナルが間充織細胞でのみ確認された。ところが、間充織誘導が起こって間もなくの110細胞期胚における発現をみたところ、予定間充織細胞での発現が確認できなかった。内在のtwist-like遺伝子の発現についても、現在までに種々の方法を試してみたにもかかわらず、110細胞期での予定間充織細胞での発現を確認できていない事実と合わせると、今回用いたtwist-like遺伝子は、FGFシグナルに応答して直接的に発現してくる遺伝子ではなく、本研究の目的には適さないものであることが明らかになった。 胚の前方に脊索、後方に間充織を作り出すような胚全体の空間的地図が、どのように描かれていくのかを理解するために、本年度は、受精後の細胞質再配置により胚後方に局在する母性因子PEMめ関与を検証した。その結果、PEMは胚後方において、脊索誘導における応答能制御因子であるFoxA/ZicNの転写を抑制することにより、・FGFシグナルに対する前方特異的な応答能を抑制しているととを明らかにした。
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