研究概要 |
本年度は原腸形成運動理解のための後期ホヤ胚発生3次元データベース(FABA2、http://chordate.bpni.bio.keio.ac.jp/faba2/2.0/top.html)の構築および、共焦点レーザー顕微鏡画像に基づく3次元バーチャル胚構築によるホヤ胚原腸陥入時における形態変化の1細胞レベルでの定量解析を行った。発生過程において原腸陥入運動は極性を伴った細胞レベルの運動が個体全体の形に影響を及ぼす重要なイベントである。データベースFABA2はFABA1につづく、孵化幼生から幼若体までの三次元データベースである。このデータベースにより原腸陥入過程の細胞形態変化を時系列に沿って1細胞レベルで個体全体を見渡しつつ明らかにすることができた。今回、原腸陥入時におけるこれらの画像データをもとに実際の形状を反映したコンピュータ・グラフィックス(CG)を作成し、細胞レベルで初めて形態変化(扁平度の変化、他の細胞との接触面積変化、体積変化等)の定量化を試みた。結果、脊索細胞が原腸陥入期において特に大きく形態変化していることがわかった。また、脊索遺伝子過剰発現胚の中には形態的な異常が目で見てわからないものもあるがこの方法を用いて定量化したところ、脊索細胞の形態異常を検出することに成功した。以上の成果は国内・国際学会で発表した(JointMeetingoftheSFBD and the JSDB, "Frontiers in Developmental Biology 9月、および日本遺伝学会第80回大会9月)。
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