研究概要 |
ゲノム配列情報が明らかになった真核生物種間で代謝経路比較を行い、系統ごとに特徴的な代謝経路進化を明らかにすることを本課題の研究目的とする。本年度は、植物の代謝経路情報の抽出及びデータ解析を中心に解析を行った。イネ・シロイヌナズナの代謝データはKEGGやAraCyc(TAIR),RiceCyc(Gramene)などのデータベース(DB)より公開されているが、必須代謝経路に関連する酵素情報が欠落していることが分かった。そこで、遺伝子機能の記載より遺伝子と酵素反応を対応付ける作業を行い(データマイニング)、新規に代謝経路情報を作成した。まず、データマイニングに必要なプログラムを自作し、KEGGより取得した酵素反応情報に基づき作成した酵素反応名とEC番号の対応リストをリファレンスとして、RAP及びTAIRより二公開されている遺伝子機能情報より網羅的に遺伝子とEC番号の対応付けを行った。その結果、イネではKEGG・RiceCycに登録されていない344のEC番号を新たに遺伝子と対応付けることができた。同様に、シロイヌナズナにおいてもKEGG・AraCycにない448件のEC番号を遺伝子と対応付けた。これらの結果を用いて植物2種におけるEC番号の右無を比較したところ、いずれの植物でめみ見つかったEC番号はイネで85、シロイヌチズナで258ど後者が3倍近く多いことがわかった。これらの結果を公開することで研究者が効率よく代謝経路と遺伝子の対応関係を推測することが可能になることが期待される。また、本プログラムを利用して、ヒト・マウスのデータに関してもデータ作成・解析を実行した。一方、これらのデータの中で、イネに関しては現在GrameneのDB担当者とデータ公開に関して協議をしている。互いのデータを精査した後、最終的には同一データを公開するため、先方と同様のDB構築を行っている。
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