研究課題
平成18年度は、8月から9月にかけてパプアニューギニア高地での現地調査を実施した。当初、研究代表者が調査実績をもつ南高地集タリ盆地における調査を計画していたが、対象地域における行政機能の低下と治安の悪化を改善するために、パプアニューギニア政府によって"State of Emergency"が宣言される事態となり、南高地州における円滑なデータ収集は難しいと判断した。そこで、パプアニューギニア研究者の助言をえて、情勢の安定している東高地州ゴロカ地域における調査をまず実施し、南高地州においては次年度の研究計画をみすえた予備的な調査をおこなった。なお、申請者はゴロカ地域においても、過去から現在にかけての人口増加と人々の適応戦略の変容にかんする情報にアクセスできる状況にあり、調査地の変更にともなう研究内容の変更は研究目標の達成に必ずしも大きな障害にはならない。ゴロカ地域では、都市からの距離のことなる3地域を対象に基礎的情報を収集し、過去50年間の生業の変容にかかわる聞き取り調査をおこなった。さらに高解像度衛星データを利用した土地利用変化のベースマップ作成を開始した。南高地州では、ウェナニ地域において、センサスならびに、研究代表者が前回調査をおこなった1990年代半ばから現在までの生業と市場経済の変化についての聞き取りをおこなった。南高地州の調査地では、過去10年間に土地をめぐる部族内戦争が頻発し、それにともなう食料生産の低下は人々の生存に深刻な影響をあたえ、さらには地域における市場経済化の障害になっていることが明らかになった。
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