研究課題
本研究は植物が本来有する害虫に対する免疫機構を強化することで「害虫に強い植物」の開発を目指すものである。具体的には害虫に対する免疫機構を制御している有用な転写制御因子を選抜し、利用することで「害虫に強い植物」の開発を目指す。本年度は、昨年度までに作出しライン化した「害虫に強い植物」の分子育種に有用な転写因子候補を遺伝子導入したシロイヌナズナ、および、遺伝子破壊株の虫害耐性に関る評価を行った。評価は昨年度までに開発したリーフディスクアッセイ法や、植物体を用いたアッセイなどにより行った。その結果、転写因子候補を遺伝子導入した幾つかのラインにおいて実際にアザミウマによる虫害に対する耐性度に変化が認められた。次に、それら転写因子の遺伝子破壊株についても同様な解析を行った。しかし、耐性度に有意な変化は認められなかった。次に、アザミウマ虫害に対する耐性度が向上していた植物について別の害虫であるハモグリバエ食害に対する耐性度を調べたところ、程度の差はあるものの耐性度の向上が認められた。アザミウマ及びハモグリバエはそれぞれ難防除害虫として世界的に問題となっていることから本課題で得られた知見は非常に興味深いといえる。また、本課題の目的である「害虫に強い植物」の開発の道筋を確立することができた。今後、アザミウマの食害に対して、「よりすばやく」、「より強く」、応答する遺伝子のプロモーターの制御下で、これら転写因子を発現させたラインの評価を進めていく予定である。
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Plant Physiology (in press)
Plant Signaling & Behavior 3
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