| 研究概要 |
イネの登熟期間中における出穂前蓄積デンプンの分解機構と,分解後の穂への転流機構を解明することを目的として,イネβ-アミラーゼに着目して研究を進めた.
昨年度に作製した葉緑体局在型と予想される3つのイネβ-アミラーゼ(OsBMY1;1,1;2および2)の抗血清を用いて,出穂後のイネ葉鞘における発現量をウェスタンブロット法により解析した.その結果,OsBMY2の発現量が出穂期から多くなり,特に,デンプン含量の減少が著しいインド型イネ品種において,その発現量が出穂期ならびに出穂8日後に多かった.OsBMY1;1および1;2の発現量は出穂期以降の葉鞘において低く,ほとんど変化が見られなかった.また,データベース上から,他のβ-アミラーゼの候補遺伝子の情報を得て,それらを含めてRT-PCR法により遺伝子レベルでの発現解析を行った.OsBMY2遺伝子はイネ葉鞘や葉身,出穂後の稈において特異的に発現しており,デンプン分解が活発な発芽後の種子中ではほとんど発現していないことがわかった.これらの結果から,OsBMY2は出穂後のイネ葉鞘や稈におけるデンプン分解に関わる酵素の一つではないかと考えられた.
OsBMY2がβ-アミラーゼとしての活性を有するかどうかを解析するために,大腸菌においてその融合タンパク質を発現させ,精製を試みた.しかし,発現タンパク質が不溶性となり,十分に精製できなかったため,OsBMY2のN末端側のシグナルペプチド配列を除いた発現ベクターを構築し,再度実験を試みる予定である.
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