1.植物の療法的効果の計測 都市近郊の森林において、植物種や密度、天候など人の生理や心理に影響を及ぼすと考えられる要素について、その影響を調べた。その結果、生理的な部分は大きく変わらないが、同じ植物種でも、その密度や高さ、また散策する日の天候によって心理的な効果は大きく違うことが明らかになった。よって、これらの結果を病院緑化に当てはめると、何をどれくらい植栽するかといったハード面の整備は当然であるが、その場所を、いつ、どのように利用するかを同時に提案することが、利用者である患者に対し、必要な要因であることがわかった。 2.病院職員の精神的負担を和らげる植物の効果検討 これまでの病院緑化は患者の安らぎを求めるものがほとんどであったが、病院職員は通常の職場よりも精神的な負担が大きいと考えられることから、彼らの精神的負担を緩和する緑化が求められている。今回、もっともストレスが高いと考えられる緩和ケア病棟の職員と園芸療法を実施し、その効果を調べた。その結果、植物と触れあうことで、コミュニケーションが円滑になったとの結果がでたことから、身体的な効果よりも心理的な効果として有効であったといえた。 3.ガーデンホスピタル推進のための提案と緑化指針の構築 病院緑化の現状、問題点、課題、今後の展望など、この二年間の調査結果からまとめることができた。それらの内容をまとめて、日本緑化工学会誌に投稿し、掲載された。
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