研究概要 |
本研究では,都市域においてエコロジカルネットワークを有効的に機能させるためには,どのようなパッチやコリドーを配置させることが必要であるのか,さらにはそれぞれの質(特に内部の構造)はどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。パッチとコリドーの関係については,パッチはより大きい方が良く,コリドーはより幅広いものがふさわしく,それらが接続されるのが望ましいとされるが,現実の計画の際には,より具体的な閾値が必要となる。パッチとコリドーは必ず接続されなければならないのか,パッチは最低どのぐらいの面積を持つ必要があるのか,コリドーとして機能するためには,どのような構造や配置が必要であるのかより具体的に明らかにすることを目指す。 平成19年度には5月にコペンハーゲンに1ヶ月間滞在し,コペンハーゲン大学と共同で市郊外の住宅地における繁殖期の鳥類の分布を調査した。滞在期間中には,コペンハーゲン大学内のゼミナールにおいて成果発表を行い,研究交流をした。この調査結果については現在分析中である。国内においては,現在策定が進められている国土形成計画において,エコロジカルネットワークが自然と共生する国土のあり方として位置づけられたために,広域的なネットワーク形成のあり方について検討を行い,農村計画学会で発表した。この成果は国土形成計画に対する農村計画学会からの意見としてまとめられ,関係部署に提言を行った。昨年度の冬に大阪府中心部で行った鳥類調査の結果については,現在分析を進めており,平成21年度には関係学会誌に発表予定である。 論文としては,エコロジカルネットワークを踏まえた都市における生物多様性保全のあり方に関する総説と,エコロジカルプランニングに関する総説,また日本,韓国,中国の都市部における自然再生を比較した論文を発表した。
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