研究課題
1.7Kシロイヌナズナマイクロアレイを用いて、病原菌接種とシグナル物質処理により得られた遺伝子発現プロファイルの相関解析により、活性化した抵抗反応経路を推定する方法論を構築した。病原糸状菌アブラナ科野菜類炭そ病菌を接種したシロイヌナズナおよびハクサイについて、本評価法を用いて解析した結果、炭そ病菌の攻撃に対するシロイヌナズナの初期の抵抗反応はサリチル酸経路を介して活性化されることが示唆された。また、7.0Kハクサイマイクロアレイを用いて、サリチル酸ナトリウム、BTH、メチルジャスモン酸処理および炭そ病菌接種により発現誘導される遺伝子群を網羅的に解析し、シロイヌナズナのSA経路、ET/JA経路、JA経路に関わる主要な病害応答性遺伝子であるPR1、PR5、BGL2(以上SA経路)、PDF1.2(以上ET/JA経路)、VSP2、LOX2(以上JA経路)を取得した。さらに7.0Kハクサイマイクロアレイを用いた解析により、遺伝子診断アレイ用の遺伝子の選抜を行った。選抜基準として次のいずれかを満たす遺伝子を選抜した。1、シグナル物質処理または病原菌接種により5倍以上の発現活性を有する。2、シロイヌナズナの防御応答遺伝子のカウンターパート。以上により、約1000遺伝子の遺伝子診断キット用ハクサイ病害応答性遺伝子を選抜した。現在、本診断アレイによるアブラナ科作物の病害応答について解析を遂行している。また、シロイヌナズナにおいて、炭そ病菌に対する抵抗性には2つの異なる抵抗性遺伝子が必要であることを明らかにした。現在、本遺伝子セットをアブラナ科作物へ形質転換しており、抵抗性遺伝子を用いた病害抵抗性作物の分子育種を試みている。
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Journal of General Plant Pathology 74
ページ: 345-354
Plant Signaling & Behavior 3
ページ: 1-2