| 研究概要 |
病原性、非病原性のPseudomonas属細菌を接種したレタス、ナス、タバコでは、病徴の発現時、防御応答時の何れにもアポトーシス様PCDが誘導される。過敏感細胞死と病徴発現時の細胞死に共通して関与するMAP kinase,カスパーゼIIIおよびV様プロテアーゼやDNase、さらに、発病時に特異的に作用するセリンプロテアーゼやDNaseを見出している。このうち、MAP kinaseに関しては遺伝子の部分配列を同定し、細胞死に関わるタバコのNtf6と高い相同性を示すことが明らかとなった。また、発病時に特異的に発現する遺伝子をレタスより2種、タバコより1種単離することに成功した。レタス由来の遺伝子の1つはZn-finer型転写因子と相同性を示し、病原細菌の感染による宿主遺伝子発現の制御が考えられた。また、発病時に特異的に発現する、タバコ遺伝子は既知の遺伝子との相同性は低く、コードしているタンパク質の機能について詳細は不明である。しかしながら、ウイルスベクターを用いたノックダウン実験から、本遺伝子ノックダウン個体では、タバコ野火病やタバコ立枯病の発病が顕著に遅延することを見いだした。即ち、これらの細菌病の発病過程には宿主の遺伝子発現が関与していることを見いだした。現在、発病時に特異的に発現する遺伝子のプロモーターの単離を進めており、プロモーター活性を指標にした発病過程に関わる植物細胞内情報伝達系の解析を進めている
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