研究概要 |
実験1.二重蛍光標識によるRCB形成機構の形態学的解析 RCBの液胞への輸送がオートファゴソームを介したマクロオートファジーの経路によるのか、あるいは液胞膜の陥入によるミクロオートファジー様の経路によるのかについて調べるため、RCBの二重蛍光標識を行った。葉緑体ストロマがGFPとは蛍光波長領域が大きく異なる赤色蛍光タンパク質DsRED2で標識され、かつオートファゴソームがGFPで標識される形質転換体AtATG8-GFPを交配により作出した。この形質転換体の葉における蛍光タンパク質の挙動について共焦点レーザー顕微鏡で解析した。その結果、コンカナマイシンA処理した葉ではDsRED2とGFPが液胞内に蓄積したRCB上に共局在していた。またAtATG8GFPのシグナルは葉緑体から突出したストロミュールにも見られた。以上の結果はRCBがマクロオートファジーを介して液胞に輸送、分解されていることを強く示唆した。 実験2.オートファジーや葉緑体分裂に関わる突然変異体を用いた解析 RCBがマクロオートファジー様の経路で形成される場合、オートファゴソームに加えて、RCBを葉緑体から切り離す何らかの装置が介在すると考えられた。まずオートファジーに必須な遺伝子ATGの変異体でRCBが形成されるかどうかについて調べた。その結果オートファジー欠損変異体Atatg5-1ではRCBの蓄積は観察されなかった。この結果は実験1の結論を裏付けるものである。また葉緑体の分裂が進行せず葉肉細胞に巨大な葉緑体が存在するARC mutants(arc5, arc6)においてRCBが形成されるかどうかについて調べた。その結果、ARC mutantsでもRCBの蓄積は観察された。この結果は葉緑体の分裂装置とは直接関係のない因子が葉緑体からのRCBの切り離しに関与している可能性を示唆した。
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