研究概要 |
平成18年度は宿主菌株の選定および転位活性を持つ挿入配列のビフィズス菌からの単離系の構築を主に行った. 1)宿主菌株の選定 ビフィズス菌内で複製可能なプラスミドpKKT427を用いて,種々のビフィズス菌の形質転換効率を測定した.菌株としては,Bifidobacterium longum, B.catenulatum, B.breve, B.adolescentisの基準株を使用したが,いずれも今後の実験に使用可能なレベルの形質転換効率が得られなかった.そこで高い形質転換効率を持つB.longum 105-A株を譲渡頂き,10^3〜10^5/μg DNAの形質転換効率を得ることができたため,B.longum 105-A株を宿主菌株として用いることとした. 2)転位活性を持つ挿入配列単離系の構築 pKKT427に挿入配列の転移をポジティブに検出できるマーカー遺伝子の発現系をクローニングし,転位活性を持つ挿入配列を検出可能なプラスミドを2種類構築した.クローン化した遺伝子が機能することは,表現型の変化および変異株の相補により確認した.現在,これらのプラスミドをB.longum 105-A株に導入した株を取得しており,これらの株を用いて挿入配列が転位したクローンのスクリーニングを行っている. 3)新規挿入配列様因子の同定 B.longum BK28株由来のプラスミドDNA断片の塩基配列を決定したところ,挿入配列様の因子を持つことが明らかになった.当該因子中には転位に必須なトランスポゼースと考えられるタンパク質をコードするORFが存在しており,現在詳細な配列解析およびビフィズス菌属内における保存性の解析を行っている.
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