研究概要 |
1.嫌気性の好熱性アーキアArchaeoglobus fulgidus由来のゲラニルゲラニルレダクターゼ(GGR)ホモログが、アーキアの膜脂質生合成中間体であるジゲラニルゲラニルグリセロールリン酸の2つのゲラニルゲラニル基を完全に還元し,膜脂質の1つであるアーキチジン酸を生成する活性を持つことを明らかにした。同酵素はさらに、生合成経路のより上流に位置する中間体,ゲラニルゲラニルニリン酸およびゲラニルゲラニルグリセロールリン酸に対しても活性を示した。そこで、このアーキア膜脂質生合成に関わるGGRの基質特異性をより詳細に解明すべく、酸素に対する安定性が比較的高く取扱いの容易な、好気性の好熱性アーキアであるSulfolobus acidocaldarius由来のGGRホモログをクローニング、精製し、同酵素がA.fulgidus由来の酵素と同様の活性を示すことを明らかにした。現在同酵素を用いて詳細な特性評価を行っている。 2.好熱性アーキアSulfolobus shibatae由来イソペンテニル二リン酸イソメラーゼを使い、同種の異性化反応を触媒する特殊なフラビン酵素の反応機構を明らかにすべく、変異型酵素を用いた分光学的解析と結晶構造解析を進めた。分光学的解析からは、基質及び補酵素の結合に重要なアミノ酸残基を明らかにすることができた。結晶構造解析では、これまでに最高2.7Åの分解能を示す結晶の作製に成功しており、現在構造解析に十分な、より高い分解能の結晶を得るべく条件検討を行っている。
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