研究概要 |
本研究では、「アセチル基転位酵素によるアミン類から高付加価値のあるアセチルアミド類の生産」を最終目標とする。本年度は、芳香族アミン類からアセトアニリド類へ変換する微生物を分離し、分離株の中から芳香族アミン類だけでなく脂肪族アミン類に対して幅広い基質特異性を示すアリルアミンN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)生産菌を選抜する。平成18年度は以下に示すような結果を得て、その研究成果(1)および2))を発表した。 1)アリルアミンN-アセチルトランスフェラーゼ生産菌の選抜 研究室保有株および土壌より新たに分離したNAT生産菌から、同アセチルトランスフェラーゼ生産株(Bacillus cereus PDa-1、Bacillus cereus 10-L-2)を選抜した。 2)NATの精製と特性解析 PDa-1および10-L-2株を培養し、得られた菌体から調製した無細胞抽出液中にアセチル-CoA存在下でフェニレンジアミンをアミノアセトアニリドへ変換する酵素活性を見いだした。さらに、それぞれの菌株から酵素を精製し、特性解析した。特に、10-L-2株は性質の異なる二種類のNATを生産していた。 3)生菌体および休止菌体を用いた芳香族アミン類からアセトアニリド類への変換 単環式芳香族アミンとしてアニリンおよびそのアミノ、カルボキシル、クロロ、ニトロ、ハイドロキシル、メチル誘導体を基質とし、休止菌体(PDa-1株)または生育菌体(10-L-2株)を用いてアセチル化反応を行った。両菌株とも置換基の位置や大きさに関係なく基質のアミノ基をアセチル化した。また、アミノサリチル酸などの多置換体やアミノナフタレンやアミノフルオレンなどの多環式芳香族アミンのアミノ基もアセチル化した。よって、本酵素の基質特異性は非常に広いと結論した。 1)S.Takenaka et al., J.Biosci.Bioeng., 102, 21-27(2006) 2)Mulyono et al., J.Biosci.Bioeng., 103, 147-154(2006).
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