研究概要 |
・α-1,2-マンノース分解酵素の粗面小胞体への係留とマンノース5個,N-アセチルグルコサミン2個(M5GlcNAc2)結合糖タンパク質の生産 動物細胞ではマンノース8個から5個へのトリミングはゴルジ体内腔に局在するα-1,2-マンノース分解酵素によって生合成される。本研究ではコウジカビ由来のα-1,2-マンノース分解酵素をコードする遺伝子を用い、分裂酵母の粗面小胞体内腔に安定に係留させるためのシグナル配列(ADEL)をC末端へ付加した。ゴルジ体内腔でN-結合型糖鎖の伸長を阻害した糖鎖欠損株に対して発現を試みた結果、細胞破砕液のα-1,2-マンノシダーゼ活性が上昇し、細胞内で機能していることは分かったが、M5GlcNAc2を生合成する効率は約2割という低さを示した。α-1,2-マンノシダーゼGFP融合タンパク質が粗面小胞体内腔に正常に局在していなかったことから、分裂酵母のガラクトース転移酵素及びマンノース転移酵素のC末端側膜貫通領域を利用し、ゴルジ体に安定に局在化させる方法を試みている。 ・抗原性の高いα-結合型ガラクトース鎖の除去 UDP-ガラクトース輸送体の破壊による除去は既に確立しているが、ヒト型β-1,4-ガラクトース転移酵素による修飾の際に必須であるため、推定で7種類存在するα-1,2-ガラクトース転移酵素の破壊株の作製を行っている。現在、5種類の破壊を完了しており、ガラクトース鎖を認識するレクチン染色で細胞表層のガラクトース含量を確認した結果、野性株の約3割に低下していることが分かった。7種類全ての破壊を進めている。
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