研究概要 |
現在までに培養筋細胞系を用いた高感度な糖代謝能評価系は存在せず、このことが培養筋細胞を用いた代謝研究を困難にさせている一因であった。研究代表者らは、この問題を解決するために新しい高感度GLUT4膜移行評価系を構築 (Nedachi T, Kanzaki M, 2006)、これによって研究課題である高度発達型筋細胞系を用いた運動刺激依存的なGLUT4膜移行制御機構の解明が可能となった。また、運動効果を最大限に発揮しうる条件を幅広く探索した結果、C2C12筋細胞の下に特定のフィーダー細胞を播種することが運動効果をより正確に評価する条件となりうることを発見し、その方法について特許申請した(,神崎展、根建拓、2006)。さらにC2C12の運動効果をより高める分化条件を探索、分化制御因子SIRT1とFOXO転写因子群による分化制御システムが重要であることを見出した(論文準備中)。以上の知見を1利用して開発した高度発達型筋細胞系にっいて網羅的遺伝子発現解析を行った結果、運動依存的な,GLUT4膜移行制御に新しい分泌タンパク質群が重要な役割を果たしていることを発見した(論文準備中)。GLUT4小胞の精製についても予備検討が終了し、現在プロテオミクス解析に向けての準備を鋭意進めている。 また、本課題研究を通して研究代表者によって見出された知見は、C2C12への電気パルス刺激付与が筋発達を促進するメカニズムを見出すことに貢献し(Fujita H, Nedachi T, Kanzaki M, 2007)、さらに卵母細胞成熟におけるインスリン-PKB/Akt-PDE経路の重要性を示す研究に貢献している(Han SJ, Vaccari S, Nedachi T et a1., 2006)。また、本課題進行中に得られた情報について解説を著した(根建拓、2006, 2006, 2007)。
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