植物の液胞内環境を可視化する多機能な天然の指示薬として、植物に内在する色素であるアントシアニンを用いるため、アントシアニンを蓄積する植物培養細胞の検討を行った。シロイヌナズナ培養細胞T87にMYB型転写因子の一種PAP1を過剰発現させた形質転換株、ブドウ培養細胞VR株についてアントシアニンを多く蓄積する培養条件を検討した。 植物膜輸送体遺伝子を、効率よく検索するため、シロイヌナズナ膜輸送体のcDNAを約800種類集積した特殊遺伝子ライブラリAmethystを作製した。Amethystの有用性を検証するため、サッカロミセス酵母で発現可能なAmethystを作製し、抽出検査で80%以上の膜蛋白質の発現を確認した。また、植物での発現用に、CaMV35Sプロモータによる遺伝子発現が可能なAmethystの作製し、これをアグロバクテリウムに導入したライブラリを作製した。 植物培養細胞のアグロバクテリウムで形質転換することを試みたが、形質転換効率が低く思うように発現スクリーニングが行えなかった。一方、赤キャベツなどアントシアニンを蓄積する細胞のプロトプラスト形質転換についても試みたが、技術的に成熟していない。今後は、シロイヌナズナ植物体を評価宿主として膜輸送体スクリーニングを実施する予定である。
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