研究課題
新規着床因子を同定するために、trophoblast stem cell (TS cell)とTS cellを分化させたgiant cellを用いて以下の二種類のスクリーニングを行ない、解析を行った。1)マイクロアレイ法によるスクリーニングTS cellに対して、giant cellで発現が10倍以上上昇していた遺伝子は120あった。120の遺伝子中、着床機能が不明なものを選び、胚盤胞での発現をRT-PCRにより確認したところ、14個の遺伝子が発現していた。これらの遺伝子のdsRNAを受精卵にインジェクションして発現を抑え、胚盤胞まで培養させた後、偽妊娠に移植し12.5dで解剖した。着床数の低下の有無を解析したところ、着床に影響のある遺伝子は得られなかった。しかしながら、Ras関連遺伝子を、新たに確立された胎盤特異的発現法(Nat.Biotechnol.2007)により発現させたところ、12.5dでの胚発生率が低下していたことから、胎盤発生に影響があるものと考え、現在解析中である。2)抗体作製によるスクリーニングマウスgiant cellに対するモノクローナル抗体を作製し、giant cell特異的に認識する抗体を10個得た。抗体が認識する抗原を同定するために、免疫沈降法や2次元ウェスタンブロッティングにより目的のスポットを切り出して、LC/MS/MSにて解析を行った。しかしながら、LC/MS/MSの解析ができた抗原は5種類で、結果としては、すでに機能が明らかとなっているCD9(1種類)、K19の複合体に含まれているもの(3種類)や、解糖系酵素の一種(1種類)であった。着床に直接結びつくような抗原は同定できておらず、今後は、新たなスクリーニング方法として、2D-DIGEを用いてTS Cellをコントロールとしてgiant cell特異的なタンパク質を網羅的に同定していく予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
Cell Signaling 19(3)
ページ: 519-527
Nature Biotechnology 25(2)
ページ: 233-237