昨年度、X線結晶解析に基づきカンナビノイド生合成酵素THCA synthaseの立体構造を解明した。一方、CBDA synthaseに関しては昆虫細胞発現システムを精査し、精製とキャラクダリゼーションについて報告したが(FEBS Letters 2007)、十分量の酵素が得られなかったため、THCA synthaseの立体構造を基にした分子モデリングで推定構造を作製した。両酵素の活性部位には5ケ所6残基の相違が確認され、これらのアミノ酸残基が両酵素め触媒する酸化閉環反応及び生成物の作り分けに重要な役割を果だすことが示唆された。そこで、各アミノ酸残基について部位特異的変異導入法による相互変換を行い、得られた変異酵素の触媒活性を検討した。この結果、各変異酵素の活性に劇的な変化は見られず、少なぐともニケ所以上のアミノ酸が協調して触媒活性を決定していると考えられた。そとで、各種組み合わせでの変異導入をさらに行っている。また、生合成酵素のカンナビノイド生産への応用を実現するためめ予備的実験とレて、分泌生産した組み換えTHCA synthaseを基質CBGAとインキュベートすることにより簡便かつ立体選択的なTHCA生産システムを確立した(Biochern. Biophys. Res. Cemmun. 2007)。以上のように本研究では従来、解明されていなかったカンナビノイド合成酵素の構造を原子レベルではじめて解明し、触媒活性の制卸およびカンナビノイド生産への応用に向けた基盤を確立した。
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