1.腸内細菌叢の変化がアレルギー反応に及ばす影響を、ハプテン誘導接触性皮膚炎モデルにより解析した。食餌への難消化性オリゴ糖添加により接触性皮膚炎が抑制されることが示され、抑制には腸内ビフィズス菌、とりわけBifidobacterium pseudolongumの増加が寄与することが示唆された。 2.発育初期の腸内細菌叢が発育後の免疫応答に影響することが知られている。そこで、妊娠・授乳期の母マウスへの難消化性オリゴ糖摂取が、仔の腸内細菌叢形成に影響するか分子生物学的手法を用いて解析した。難消化性オリゴ糖摂取の有無により母の菌叢が大きく異なること、出生直後は仔の菌叢と母の菌叢は大きく類似し、離乳期においても母のオリゴ糖摂取の有無により仔の菌叢が異なったパタンを示すことが明らかとなった。1および2の結果は、妊娠・授乳期の難消化性オリゴ糖摂取が仔の腸内細菌叢形成に影響し、その結果仔のアレルギー発症にも影響する可能性を示唆するものであった。 3.消化管内微生物による有用物質の生産に関する検討を行った。ヒツジルーメンからRuminococcus albus NE-1を分離し、本菌株よりcellobiose 2-epimeraseを単離するとともに、コードする遺伝子を取得した。本酵素はセロオリゴ糖の還元末端グルコースをマンノースに異性化する活性を有していたが、同時にラクトースをガラクトシルマンノースに変換することから、新規のプレバイオティクスの生産に応用できる可能性が示唆された。
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