(1)HCO_3^-/CO_2緩衝液における15-リポキシゲナーゼ(LOX)の低密度リポタンパク質(LDL)への反応性(1-1)LDLの精製 (1-1)LDLの精製 コンセンサスが得られた健常人ボランティアの血漿100mlを用い、超遠心分離法によってLDLを分離した。LDL画分には多量のアルブミンが含まれており、LOX反応に影響を及ぼすと考えられたため、限外濾過および透析による除去を試みた。その結果、自動酸化を避けながら比較的短時間で精製する条件を確立した。 (1-2)15-LOXによるLDLの酸化 (1-2)15-LOXによるLDLの酸化 精製LDLにウサギ網状赤血球15-LOXを反応させ、アポリポタンパク質のカルボニル化(酸化修飾物)をSDS-PAGEおよびイムノブロットで分析した。その結果、HCO_3^-/CO_2緩衝液とリン酸緩衝液との反応性に顕著な差は認められなかったが、両緩衝液においてLOXの反応性が非常に低かったことから、反応条件についてさらに検討する必要がある。一方、ヘモグロビンによるLDLの酸化では、HCO_3^-/CO_2緩衝液はリン酸緩衝液と比較して有意にタンパク質の酸化を促進したことから、HCO_3^-/CO_2緩衝液は、鉄による活性酸素生成に影響を及ぼしていると考えられる。 (2)HCO_3^-/CO_2緩衝液での15-LOXのLDL酸化に対するキレート剤の効果 鉄イオンとHCO_3^-の配位結合は比較的弱いと考えられており、HCO_3^-とキレート剤の共存が、LOXによるLDL酸化反応に及ぼす可能性がある。HCO_3^-/CO_2緩衝液において、EDTAはヘモグロビンによるLDLの酸化を有意に促進したが、LOX反応についてはこれまでのところ再現性ある結果が得られていない。今後は添加濃度や他のキレート剤について検討する予定である。
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