研究概要 |
平成19年度は、昨年度の結果,すなわち非熱処理における殺菌効果に及ぼす種々の環境要因を定量的に評価して,高圧処理における殺菌効果の予測を可能とすると数理モデルの開発に従事した。その結果,以下の速度論的モデルと確率論的モデルとを開発した。 1.非熱的処理の速度論的なモデルの開発 超高圧処理あるいは電解水処理による細菌死滅の経時変化はWeibull frequency distributionに従うことが近年報告されている。そこで、19年度ではまず経時変化について基本モデルにWeibull関数を用いて、死滅経時変化予測モデルを構築した。さらに,これまでの曲線回帰手法ではない,微分方程式を基本モデルとする新たな殺菌予測モデルを構築した。本モデルは変動する圧力条件下での殺菌効果(細菌数の減少)を高い精度でシミュレートすることを可能とした。 2.非熱的処理の確率論的殺菌予測モデルの開発 従来の死滅曲線を求めるモデル化手法とは異なる殺菌効果予測モデルを開発した。本モデルでは殺菌処理による細菌の挙動を死滅可能性として捉えることで,食品加工において必要とする殺菌効果(対数減少量)を的確にかつ容易に推定可能となった。さらに,その効果の確実性(確率)をも同時に推定できることから,新たな殺菌効果指標モデルとして発展することが期待できる。
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