研究概要 |
平成20年度は、昨年度の結果,すなわち非熱処理における殺菌効果に及ぼす種々の環境要因を定量的に評価して,高圧処理における実際の食品系における殺菌効果の予測を可能とすると数理モデルの開発に従事した。その結果,以下の確率論的モデルを開発した。 1.高圧処理後の損傷菌回復制御手法およびその予測モデル開発 高圧処理によって生ずる損傷菌の回復を制御するために,高圧処理後に温和な加熱処理を施す手法を開発した。本手法によれば,高圧処理後の保存中に損傷回復してくる細菌の制御を可能とした。さらに,損傷回復制御条件の最適化のための数理モデルを開発し,必要に応じた処理条件の選定を可能とした。 2.非熱的処理の確率論的殺菌予測モデルの開発 従来の死滅曲線を求めるモデル化手法とは異なる殺菌効果予測モデルを実際の食品系において開発した。本モデルでは殺菌処理による細菌の挙動を死滅可能性として捉えることで,食品加工において必要とする殺菌効果(対数減少量)を的確にかつ容易に推定可能となった。さらに,本年度は圧力の他に温度の要因も加えたモデルを開発した。本モデルでは効果の確実性(確率)をも同時に推定できることから,新たな殺菌効果指標モデルとして発展することが期待できる。
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