研究課題
東南アジア熱帯雨林で起こる一斉開花現象の象徴種であり、地域の優占種でもあるフタバガキ科樹木の繁殖メカニズムに注目し、資源と環境の双方の観点から調査を行っている。今年度は、2001年度から継続して行っている、フタバガキ科樹木数種の樹体内貯蔵物質の蓄積過程に関する調査を行うとともに、これまで採取した試料について、窒素・リン・カリウム・炭水化物などお栄養素の濃度変化を調べ、種子生産量との関係を解析した。その結果、樹体内に貯蔵した栄養塩類の濃度が種子生産の豊凶現象と関係性が強く、樹体内への栄養塩の蓄積が一斉開花への参加に関与している可能性が高いことを明らかにした。また、開花・結実の際に最も多量に必要となる炭水化物資源に注目し、フタバガキ科樹木の光合成能力や、光合成に影響を与える生理的・形態的パラメーターに関する調査も行った。その結果、フタバガキ科樹木は実生から成木にいたるまで、樹高の増大に伴って、樹種に関係なくほぼ直線的に最大光合成能力が増加すること、また最大光合成能力は葉の柵上組織厚と最も相関が高く、密接な関係があることを明らかにした。さらに、それらの光合成に関するパラメーターや各種気象データを基に、東南アジア熱帯雨林の二酸化炭素のフラックスモデルを構築し、国際誌に発表した。その他、一斉開花の誘導因子となる可能性の高い環境因子を特定するための基礎研究として、マレーシア・サラワク州やサバ州といった広範囲の地域の長期気象データを解析し、地域ごとの気象の特徴や一斉開花の発生状況との関係性について考察し、この結果を国内誌に発表した。
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