研究課題
東南アジア熱帯雨林の優占種で、この地域の生態系修復・再生の鍵を握るフタバガキ科の樹木について、その繁殖メカニズムに及ぼす資源と環境の影響を調査している。平成19年度は、平成13年度から継続して行っているフタバガキ科樹木数種の樹体内貯蔵物質の蓄積過程に関する調査を行うとともに、フタバガキ科樹種の同調的な開花の誘導因子として考えられている短期的な乾燥条件を操作実験によって人工的に再現し、開花を誘導する実験を行った。また、樹木の開花・結実の際に最も多量に必要となる炭水化物資源に注目し、フタバガキ科樹木の光合成や蒸散量の季節変動や樹種特性、さらに光合成に影響を与える生理的・形態的パラメーターに関する調査を行い、その結果を国際誌にまとめた。主な結果としては、フタバガキ科樹木を含めた熱帯雨林の林冠層や突出木層を形成する樹種は、そのほとんどが葉を透かせば明瞭な葉脈網が見える異圧葉型の葉の形態を持つことが明らかとなった。これは、葉内を網目状の葉脈によって仕切り、それぞれのコンパートメントごとに独立して気孔の開閉を調整することにより熱帯の林冠に特徴的な強光・乾燥条件下でも効率よく光合成生産を行うためであると思われるまた、光合成器官である葉の被食防衛戦略にも注目して、樹種毎の窒素利用と植食生昆虫の関係性についても調査を行い、その結果を国際誌に発表した。
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