研究概要 |
本研究の目的は,森林の齢級構成と成長量に基づいた伐採計画を立案し,将来の生産量を推定することにより,森林バイオマスの長期的な利用計画手法を構築することである。地域の実状を反映した検討を行うために,初年度は,モデル地域を対象に,地域の森林資源の分布状況や地形傾斜,林道・一般道の配置を地理情報システム(GIS)を用いて整理した。その結果,資源量やコストなど,次年度以降の検討に必要な基礎データを,GIS上で一元的に管理できるようになった。初年度の作業内容は次の通りである。 1.まず,モデル地域における森林の区分である「小班」の形状と位置について,モデル地域の位置する県が作成したベクタデータと,森林資源の分布状況に関するデータとして,県が作成した森林簿と森林資源現況表をGISに取り込む作業を行った。この作業の後,GIS上の森林簿データに記載された各小班の「蓄積」の項目に係数を乗じることで,木材と森林バイオマス資源量を算出した。 2.森林の地理的な条件については,木材と森林バイオマスの輸送基盤となる林道・一般道と等高線に関するデータをGISに入力した後,GISソフトウェアの機能を活用して,小班ごとに林道までの集材距離,エネルギープラントまでの輸送距離,地形傾斜を算出した。 3.森林バイオマスの収穫・輸送・粉砕システムについては,上記により求めた地理的条件をもとに,小班ごとにシステムを決定した。一方でその地理的条件,つまり地形傾斜,集材距離,輸送距離を変数とするコスト計算式を作成し,この計算式を各小班の地理的条件に適用することで,収穫・輸送・粉砕コストを算出した。
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