研究課題
小笠原諸島の侵入種であるアカギ上木を駆除した後の、下層でのアカギと在来種の種子と実生の動態について調べた。上木のアカギ除去後、新たに発生した実生は全14種で、そのうち10種が在来種で4種が外来種であった。そのうち量も多く発生したのはアカギの実生で、次にウラジロエノキ、シマグワであった。その他在来種では、ムニンエノキ、オガサワラビロウ、アカテツ、モモタマナ、モクタチバナ、クロツグなどの発生が確瓢されたが、個体数はわずかであった。在来種で最も多くの実生が発生したウラジロエノキは、4ヵ月後の調査時点での生存率が18%であったのに対し、同じ時期に発生したアカギの生存率は69%と高かった。ウラジロエノキのような在来種の実生が定着するためには、より明るい光環境が必要であると思われる。調査プロットの優占樹種であるムニンヒメツバキは、シードトラップには多数の種子が落下しているが、その多くがクマネズミによる食害を受けており、実生の発生も確認されなかった。アカギ上木を除去したことによって林内はそれ以前に比べて10%程度明るくなったが、パイオニア性の在来樹種が定着できるほどの明るさではなく、むしろ埋土種子由来のアカギ実生の生存率を高め、定着を促進していることが明らかとなった。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
地球環境 14
ページ: 85-88
Oecologia 156
ページ: 193-202
Ogasawara Research 34
ページ: 9-31
Biological Invasions Online publication
ページ: DOI 10.1007/s10530-008-934-0