本研究は、日本各地のマツノザイセンチュウの遺伝的構造を明らかにすることにより、日本国内におけるマツノザイセンチュウの系統の現時点での分布状況とそれらの系統の生物学的特性を明らかにすることを目的としている。 本年度は、材線虫病の被害歴史の古い地域である九州地方と、離島部の種子島と沖縄島からクロマツまたはリュウキュウマツの枯死木の材片を採集した。採集した材片からマツノザイセンチュウを分離し、アイソレイト(培養系統)を作成した。また、これまでに分離された東北地方、近畿地方、九州地方および沖縄のアイソレイトを用いて、AFLP法による解析を進めるためのプライマーの組み合わせについて検討した。その結果、すべてのプライマーの組み合わせについてアイソレイト間に多型を生じるバンドが検出され、AFLP法がマツノザイセンチュウの系統解析に有効であることが判明した。
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