研究課題
陸水調査は沖縄県(6月)および和歌山県(4月から8月)の国内調査のみ行った。沖縄本島ではルリボウズハゼ(Sicyopterus lagocephalus)の採集を行い、計20個体の標本(稚魚5個体と親魚15個体)を得た。現在、レユニオン(N=45)、沖縄(N=30)、グアム(N=19)、フィジー(N=50)そしてタヒチ(N=1)の標本を材料とし、形態形質(プロポーション・計数形質)および分子遺伝学的形質(調節領域)を用いて、沖縄およびグアムを含む西部北太平洋における集団構造の有無を検討中である。2006年4月から8月に和歌山県太田川の河口で定置網を設置し、ボウズハゼ仔魚の河川への加入調査を行った。その結果、仔魚は4月18日から8月26日まで採集され、加入のピークは4月下旬から5月中旬であった。この調査から本種の仔魚は、上げ潮に乗って河川へ加入することが明らかとなった。またボウズハゼの海洋生活期間を推定するために、2005年4月30日に太田川で採集した仔魚30個体の耳石を用いて日齢査定を行った。その結果、これらの仔魚の海洋生活期間は173日から253日であり、そして孵化日は8月21日から11月9日と推定した。加入仔魚から逆算した孵化日と太田川における産卵期(7月下旬から8月中旬)が一致しないのは、太田川での産卵期よりも長い産卵期を持つ他の河川から孵化した個体が太田川に加入していることを示唆する。この考察は、本種の集団構造がメタポピュレーションを形成し、それは仔魚の海洋生活期の分散から生じるとの既報の考察を支持する。これらの結果については現在、論文作成中である。ウナギ属魚類の形態観察では、オーストラリア東海岸に生息するAnguilla australisとニューカレドニア・ニュージーランドに生息しているA.australis schmidtiiの模式標本を含む125個体を用いて、24の外部形態と脊椎骨数の変異を調べた結果、両亜種の17形質間に統計学的有意な差異が認められた。この結果は既に論文として報告した。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
New Zealand Journal of Marine and Freshwater Research 40・2
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