研究概要 |
2007年3月17日から9月20日まで、和歌山県太田川の河口において定置網を設置し、ボウズハゼ仔魚の河川への加入調査を行った結果、2007年の加入期間は4月13日から8月11日までの約4ケ月間であった。この結果と2006年の結果を比較すると、加入時期は同じであるものの、仔魚の採集個体数は2006年に12,766個体、そして2007年に372個体と大きな変動があった。また、本種の河川分布を明らかにするため、目視による四季毎の分布調査を行った。定点は、St.1(河口から0.9km上流)、St.2(3.1 km)、St.3(12.0 km)そしてSt.4(19.5 km)の4点とし、2007年の4月、8月、10月そして2月の計4回の調査を行った。それぞれの定点に、2×2mのコドラートを4つ設置した後、潜水観察により個体数を計数し、単位平方メートルあたりの個体数を算出した。St.1には仔稚魚が4月にのみ出現し(0.3-8-0,平均2.0個体/m^3)、St.2とSt.3には4月から10月に0-8.5(平均3.2)個体/m^3が出現した。2月にはどの定点においてもボウズハゼが確認できなかった。以上の結果から、本種の河川分布は主に中流域であることがわかった。これらの結果については現在、論文作成中である。 ウナギ属魚類の中で最も分布域が広範囲なオオウナギ(Anuilla marmorata)の脊椎骨数を用いて集団構造を検計した結果、5つの地域的な集団(インド洋・北太平洋・ミクロネシア・南太平洋・タヒチ)を推定することができた。また、ウナギ属魚類の亜種間の形態および分子形質を、種間とA. marmorataの集団間の形態および分子形質と比較した結果、亜種間の差異は、種間の最も小さい差異より小さく、そして集団間の最も大きい差異以上であった。ウナギ属魚類に関するこれら二つの結果は既に論文として報告した。
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