研究課題
平成19年度はギンブナよりTh1/Th2バランスに関わるサイトカイン・転写因子について、遺伝子を単離した。またT細胞サブセットの同定・単離のため、ギンブナCD8に対するモノクローナル抗体(Mab)の作製を行った。(1)Th1/Th2バランス制御に関わる遺伝子の単離Th1/Th2分化や成熟に関わる転写因子であるT-bet遺伝子およびGATA-3遺伝子をギンブナより単離した。GATA-3にはいくつかの変異体が存在することが明らかになったが、いずれの遺伝子も細胞表面イムノグロブリン(sIg)陰性リンパ球で発現が見られたことから、T細胞の機能に関与することが示唆された。細胞性免疫を誘導するTh1型サイトカインであるInterferon-γ(IFN-γ)について遺伝子の単離を行った。魚類には2種類のIFN-γ遺伝子(IFN-γ1,IFN-γ2)の存在が知られているが、ギンブナではIFN-γ1について2種類存在することが明らかとなった。発現解析の結果、これら遺伝子はいずれも免疫担当器官や白血球において発現が見られ、さらにT細胞マイトジェン(PHA)による刺激やアロ抗原感作によりその発現量は著しく上昇した。また白血球の中でもsIg陽性リンパ球画分ではなく、sIg陰性リンパ球画分において発現していることから、魚類においてもIFN-γはT細胞に発現することが示唆され、またこれら分子は細胞性免疫に関与していることが示された。(2)T細胞サブセットの同定・分離のためのモノクローナル抗体作製ギンブナCD8α鎖に対するMabを作製した。このMabはsIg陰性リンパ球とのみ反応性を示し、Mab陽性細胞はTCR遺伝子とCD8α遺伝子を発現していた。また、アロ抗原感作により、ギンブナ腎臓におけるMab陽性細胞数が増えたことから、本Mabは細胞障害性T細胞を認識していることが考えられた。
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