研究概要 |
2003年2〜3月に東シナ海において行われた3航海(開洋丸、北光丸、とりしま)で採集した仔稚魚標本について一部の種の同定および個体数密度を解析した。採集にはボンゴネット(口径60および70cm、目合い0.33mm)を用い、水深100〜150mまでを傾斜曳きした。この3航海で採集された仔稚魚の総個体数は開洋丸で8,491個体、北光丸で10,124個体、とりしまで23,345個体、計41,960であった。個体数密度は開洋丸で1.0〜330.4 inds m^<-2>(平均57.6 inds m^<-2>)、北光丸で0.4〜226.0 inds m^<-2>(平均52.4 inds m^<-2>)、とりしまで2.4〜328.1 inds m^<-2>(平均55.8 inds m^<-2>)であった。このうち、水産的に重要な種(マアジ、カタクチイワシ、ウルメイワシ、ムロアジ属、サバ属、サンマ)は3,289個体で、全体の7.8%に過ぎず、そのほとんどは中・深層性魚類や底魚類の仔稚魚であると推測された。3航海のうち、開洋丸航海で採集された標本から、優占種と考えられる中・深層性魚類マイクロネクトンであるヨコエソの仔魚を同定し、解析を行った。採集された仔稚魚の総個体数8491個体のうち1006個体がヨコエソ仔魚で、全体の11.8%を占めた。個体数密度は1.0〜69.0 inds m^<-2>(平均14.4 inds m^<-2>)であり、東シナ海の黒潮流軸海域に多く分布している傾向があった。現在、その他の種(ハダカイワシ科、ヨコエソ科、ムネエソ科など)についても、種の同定、個体数密度および水平分布について検討中であり、また、これら標本に加え、東シナ海北部の対馬海峡でも同様な仔稚魚採集を開始した。
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