研究概要 |
平成19年度は、平成18年度末に行った欧州(ベルギー,ドイツ)のレンダリンダ産業および関連機関(欧州委員会や欧州レンダラー協会など)の実態調査で得た資料・知見をもとにして分析を行った。その成果は、2007年9月に開催された日本流通学会九州部会と食農資源経済学会の2学会で報告している。また、2008年3月に宮崎市内でワークショップを開催し、欧州おける調査研究の成果報告を行い、日欧レンダリンダ産業における安全性とりサイクルの両立条件課題の検討を行った。 主な研究成果は下記のとおりである。 1.ドイツのレンダリンダ産業では,近年多国籍企業化が進んでいる。オランダやフランスなどに本拠を置く多国籍企業が,北部ドイツを中心に工場を買収し参入してきている。イギリスやデンマークなど顕著な寡占構造を有する国の多い欧州の畜産副産物市場において,ドイツは,生産要素の賦存状況の優位性とともに市場構造上,外資が参入しやすい立地条件にあることがわかった。 2.ドイツのレンダリング産業では,多国籍化とともに,構造再編が非常に進んでいる。工場規模の拡大,施設の高度化が喫緊の課題である我が国レンダリング産業において,示唆に富む動向である。 3.現在,我が国で実施されている牛由来肉骨粉の処理は,そのほとんどを巨費を投じて焼却処分するという,資源循環の点から捉えれば,極めて消極的な方策である。少なくとも肥料に利用する等,利用用途拡大の可能性を拓くためにも,ステリライザー(プリオンを不活性化させる装置)の導入・普及は不可欠である。今後,我が国のレンダリンダ産業には,消費者の安心を確保しつつ,循環資源を有効利用するという,より積極的な方策への転換が望まれる。
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