研究概要 |
非農家の協力による簾村環境保全活動として, 前年度に引き続き栃木県茂木町における「棚田オーナー制度」と, 栃木県で実施されている農村住民と都市住民との協働による農地保全ボランティア活動プログラム「とちぎ夢大地応援団」を研究の対象とし, 実態調査を行った。 栃木県茂木町においては, 町の行政が農村住民と都市住民をつなぐ役割を担っているが, 人的資源が限られている中で町がこの役割を続けていけるか, さらに他の市町村にも適用できるか, ということが大きな課題である。「夢大地応援団」においても, 活動の実施が市町村の働きに依存している部分があり, 今後, 持続的に活動を行うためには, NPOなど従来の行政組織に依存しない仕組みの導入が必要である。活動に参加している都市住民の中には, より踏み込んだ形での貢献を希望している人たちが少なからずいるので, このような人たちの力を生かす制度が必要であろう。 また, 海外における市民参加型の環境保全活動の事例調査として, オーストラリアなどで実施されている「ウィードバスター」プログラムを取り上げ, 関係者への聞き取り調査を行った。ウィードバスターとは, 外来種生物の管理・防除を一般市民の協力のもとに行うプログラムである。調査の結果, 地方政府の役割が大きいのは日本と同様であるが, ウィードバスターでは, 研究機関(およびボランティアとして参加する研究者)が重要な機能を担っていることが明らかとなった。今後, 日本において市民参加型環境保全活動を行う上でも, 大学など研究機関の役割は重要となるであろう。
|