本研究では、特に将来の食生活を形成する団塊二世世代の子どもにあたる学童期の子どもに焦点を当て、食育の推進と食育が効果的に行われる為の具体的施策について多変量解析等の計量的な分析を行うとともに、適切な食育が行われることによって、現在わが国が抱える農業及び食料の諸問題解決の糸口を見い出し、そのための政策的提言を行うことが目的である。 一年目の18年度は、本助成研究における新たな視点での研究についての準備を進めるとともに、本助成以前の研究テーマ「学童期における食育の普及・定着に関する定量分析」の研究成果の一部として、18年12月に上岡美保「わが国の食生活の現状と食育の意義に関する研究-福島県河沼郡会津坂下町を事例として-」『農林業問題研究』第42巻・第3号を発表、掲載された。まず、本研究以前の助成研究本研究では、学童期の食育の推進において、地域内連携が重要であるという点について、多変量解析を用いて明らかにしてきた。 今年度は、これと関連して、福島の調査データを基に、地域の各主体が有効な食育を行った場合に、食料問題・農業問題の解決にどの程度寄与するかについて、共分散構造分析を適用し、分析を行った。本研究については、現在、『農村生活研究』に投稿中である。 また、今年度は、さらに新たな視点として、同じく、福島県会津坂下町を対象に、学童期5、6年生全会児童とその保護者を対象とした、親子1の調査を行った。この調査では、児童の日常生活や家事への関わりの度合いと食生活の関連を明らかにすると同時に、保護者の意識が子どもの食生活にどのような影響あるいは特徴があるかと明らかにすることに努めた。 なお、今回の調査結果は、19年度末に会津坂下町役場にて、各部署役員等を対象とした報告会と意見交換を行い、同町の今後の推進に役立てていただく資料提供を行っている。 次年度は、同様の調査を食文化に特徴のある他地域で行うことを予定しているとともに、最終年度となるため、3年間の研究成果をまとめ、その結果から、食育推進に対する政策的提言につなげたいと考える。
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