研究概要 |
本年度は,(1)農村に居住する農家側が,農村地域資源の保全管理に関して,他出子弟に対して期待する役割・支援の内容,ならびに,(2)ふるさとの農村地域資源の保全管理に関して,農家側から期待される役割・支援の内容に対する他出子弟側の対応意向を明らかにするため,事例地域を設定してアンケート調査を実施した。 アンケート調査の実施地区は,昨年度までの研究成果をふまえ,広島県の中山間地域の一集落に設定した。調査地区では,担い手への農地流動化や集落営農の組織化が進展せず,経営耕地面積規模が2ha未満の零細な水田農業が,「いえ」単位において個別完結による農作業によって営まれている。またほ場の傾斜度が高く管理作業が必要な法面面積も大きいため,これらの管理作業における労働的支援の需要の存在が予想される地域であるといえる。 アンケートは,農家側,ならびに他出子弟側の調査票をそれぞれ作成し,他出子弟による農村地域資源管理に関する需要側の意向,ならびに供給側の意向を把握できるように設計した。具体的には,(1)需要サイドにおいて,他出子弟の労働的支援と金銭的支援のどちらをより強く欲しているのか,ならびにその考え方に関係している農家属性は何か,また,(2)供給サイドにおいて,ふるさとの実家に対して,労働的支援と金銭的支援のどちらをより強く志向しているか,またその考え方に関係している他出子弟の属性は何か,を分析するため,コンジョイント分析の設問をメインに据えた調査票を作成した。調査の実施・調査票の回収が年度末となったため,調査結果の取りまとめが遅れているが,今年度中の成果公表を予定している。
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