ビニールハウス(夏期)と風洞(冬季)の2つの場所でそれぞれ16本のTDRプローブを挿入した土槽を2台ずつ用いた栽培実験を行った。大豆の葉面積が概ね300cm2を超えた頃、深さ15cmに設置した多孔管から塩水灌漑を行った。埋設した灌水用多孔管の上方に、植物根による吸水から取り残された塩分が集積していることが確認できた。現在、根群分布の解析を行っている。そのような条件下での水分および溶質移動を数値解析するプログラムを現在開発中である。 また、10月にイスラエルで地中点滴灌漑を行っている2つの圃場で採土を行い、土壌断面の2次元塩分分布を得た。アーモンド畑の塩分濃度は、アーモンドにとっては厳しい状態であることが明らかとなった。一方、ホホバ畑のそれは耐塩性の高いホホバの生育を脅かすほどではなかったものの、土壌面が湿って塩類集積を起こすのを防ぐため、より小さな灌瀧強度で与えるべきであると思われた。 さらに、多量の灌水(リーチング)に伴う土壌表面への人為的塩類集積と剥離除去を想定し、裸地条件で地表のラインソースからの点滴灌漑に伴う塩類集積実験を行った。表層の塩分分布の実測値は、数値解よりも広い幅でより均一に分布する 傾向がみられ、現在、その解明と析出モデルの改良に取り組んでいる。 地中点滴灌漑条件下での塩類集積の予測に不可欠な、各植物の吸水特性を、安価かつ高い精度で測定する方法を考案し、下記の論文で発表した。
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