研究概要 |
北海道東北部の斜網地域には,森林を源流とし,農業地帯を貫流してオホーツク海に流入する河川が多数存在する.近年,これらの河川の水質汚濁が顕在化しており,早急な対策が求められている.本年度は,土地利用と河川窒素濃度との関係に着目し,流域内の畑草地と河川周辺の林地の面積比を土地利用指標(Land Use Index: LUI)と定義し,LUIと河川窒素濃度との関係から,河川水質保全に寄与する土地利用のあり方を提言した. 北海道東部斜網地域に位置する網走市東部,東藻琴村,小清水町の畑作地域を対象に,河畔環境が異なる複数の小流域河川において水質水文調査を実施した.対象流域は土地利用が異なる21流域であり,2007年8月,9月,10月に河川の水質水文調査を実施した. 本年度の研究成果から,河川周辺の林地面積に加えて,後背地である畑地面積を勘案した指標(LU)を新たに定義し,河川窒素濃度との関係を検討したところ,両者の間には負の高い相関が得られた.このことから,本地域において土地利用の面から水質保全対策を考える場合,河畔林の幅や面積に加えて,後背地の畑地面積を加味する必要があることが明らかになった.
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