研究概要 |
北海道東部に位置する斜網地域を対象に, 土地利用と河川窒素濃度との関係を検討し, 河畔緩衝帯が河川水質に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本年度は流域を単位とし, その中に展開する畑草地や森林が密集しているか分散しているかといった土地利用の集塊性に着目し, 河川窒素濃度との関係を議論した。対象河川は, 北海道斜網地域を流れる農業流域河川であり, 36地点で平水時に水質調査を実施した。対象流域の土地利用は主に畑草地と森林で構成されていることから, この2つを検討対象とした。また, 土地利用指標には, 一般的に用いられる畑草地面積率に加えて, 土地利用の集塊性を表す連結度指数CN(Connections Number), 同一土地利用の連結性SC(Spatial Continuity)を用いた。畑草地面積率と河川の硝酸態窒素濃度との間には高い相関が見られたことから, 畑草地からの窒素流出が河川の窒素汚濁に影響を及ぼしていることが確認された。また, 畑草地のCN及びSCと河川の硝酸態窒素との間には正の相関, 森林については負の相関がそれぞれ認められたことから, 河川窒素濃度は土地利用の集塊性と同一土地利用の連結性といった集塊性とも関連があることが明らかになった。このことから, 従来土地利用指標として用いられた流域内の畑草地面積率に加え, 今後は, 本年度の研究成果のように, 土地利用の配置状況を考慮した河川水質の評価法についてより詳細に検討する必要がある。
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