耕作放棄地の増加が懸念される中、農業経営基盤強化促進法が改正され構造改革特別区域法における農業生産法人以外の法人に係る農地法の特例が全国展開されることになった。本課題においては、まず、多様な利用形態の一つとして特区をはじめ農業経営に参入している法人の事例をホームページ等に公開されている情報などから収集し、整理を行った。その結果、参入している法人には様々なものが見られたが、とりわけ、農村地域と密接に関係する地方の建設業者の参入が多く注目された。こうした事例は公共事業の削減による余剰労働力の有効活用が目的とされており、現段階では後退する地域の農地利用をカバーしうる段階には至っていないことが明らかとなった。そこで、農地利用の需要者側の動向予測は別途検討することとし、本年度は農地の出し手となる農家側の動向を念頭にシミュレーションのフローを策定しプログラムを作成した。シミュレーションに用いる農(林)業センサス農家調査結果1995年、2000年、2005年のデータについては、平成19年度以降の利用に向けて利用申請の準備を進めた。 一方、地図データを用いた分析については、事例として条件不利地域を対象にすることとし、秋田県、新潟県、群馬県のデータ収集を行った。このうち、2000年農業集落カードを利用し、農家数、農家人口、農地などのデータを集落地図へ表示させるためのセットアップを行った。また、1995年、および2000年版の国勢調査地域メッシュ統計データを用い、3次メッシュ単位に年齢階層別人口などを表示させるためのプログラムを作成した。
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