• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

低光量青色光刺激が葉の形態形成制御機構に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 18780190
研究機関東京大学

研究代表者

兼子 敬子 (大橋 敬子)  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50332599)

キーワード青色光 / 葉面積 / 細胞伸張 / ホウレンソウ / シロイヌナズナ / 夜間補光
研究概要

明期中の総光量の1%以下の微弱な赤色光を暗期開始直後に,または微弱な青色光を暗期終了直前にホウレンソウに照射すると,バイオマスが20%以上増加することが報告された(羽生・庄子,2000)。この現象が普遍的に起こることが理解されたならば,少ない消費電力で植物生産を向上させる画期的な光制御技術を提案できると考える。そこで,この問題ついてホウレンソウを材料として解析を行ってきたところ,暗期開始直後の赤色光刺激は葉肉細胞を伸張させること,また暗期終了直前の青色光刺激は葉肉細胞の数を増加させることによって,葉の展開を促進し、このことが個体全体の光合成を向上させてバイオマスが増大することがわかった。この現象のメカニズムを解明するために,次に実験材料をシロイヌナズナに変えて遺伝子解析を中心とした網羅的な解析を行ってきた.シロイヌナズナにおいても,暗期開始直後の赤色光刺激あるいは暗期終了直前の青色光刺激による成育促進が確認された.光受容体を欠損したシロイヌナズナ(phyA,phyB,cry1およびcry2)の成育解析から,暗期開始直後の赤色光刺激による現象は,フィトクロムBが関与すること,暗期終了直前の青色光刺激による現象にクリプトクロム1および2は関与しておらず,おそらくはフォトトロピンを介していることが推定された.DNAマイクロアレイ解析の結果,コントロール(無補光)に比べて青色光刺激は細胞伸張に関係する酵素,キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼの遺伝子発現が高いことがわかった.さらに,青色光刺激をあたえている間は,光合成関連タンパク質の遺伝子発現はほとんどないものの,細胞伸張関連酵素の遺伝子は多種類発現していた.このことは,青色光刺激はおそらく光合成能力よりも葉の展開を促進させることで成育を促進させるという我々の予測を支持する結果のひとつになると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Effect of light quality on growth and vegetable quality in leaf lettuce, spinach and komatsuna2007

    • 著者名/発表者名
      Keiko OHASHI-KANEKO
    • 雑誌名

      Environmental Control in Biology 45

      ページ: 189-198

    • 査読あり
  • [学会発表] 暗期中の低光量光刺激は葉の展開を促進する2007

    • 著者名/発表者名
      大橋(兼子)敬子
    • 学会等名
      日本生物環境工学会
    • 発表場所
      大阪府堺市
    • 年月日
      2007-06-27
  • [図書] アグリフォトニクスーLEDを利用した植物工場をめざしてー第II編第14章赤・青LED混合光照射下で生育したイネの個葉の光合成特性と個体成長2008

    • 著者名/発表者名
      大橋(兼子)敬子(共同執筆)
    • 総ページ数
      169-180
    • 出版者
      株式会社シーエムシー出版
  • [図書] アグリフォトニクスーLEDを利用した植物工場をめざしてー第III編第2章赤・青色LED混合弱光照射による低温貯蔵中のトマト苗の苗質維持効果2008

    • 著者名/発表者名
      大橋(兼子)敬子(共同執筆)
    • 総ページ数
      202-211
    • 出版者
      株式会社シーエムシー出版

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2022-01-20  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi