研究概要 |
2007年度のわい化系統のわい化病感染株に加え,黄化系統についても健常株との識別を行うため,生育段階ごとの株高さ、SPAD値を計測し,コンピュータで識別するための画像処理技術を開発した。 実験には人工的にわい化病に感染したダイズ株(ハタユタカ、播種日4/29で、播種後人工気象室内で5月9日からアブラムシに1週間接種吸汁させ、黄化系統とわい化系統に感染させた株)と健常株を5月31日にポットに移植し、生育初期は約1週間程度、生育後期は約3週間ごとに色調の経時的な変化をSPADメータで記録するとともに、株高さを計測した。また,屋内の人工光下でビデオカメラで撮影し,画像をHLS変換して彩度を比較した。 移植後の株高さは,わい化系統は移植後から株高さが低く、7月に入ってからは、株高さはほとんど変化しない。黄化系統については、株高さは健常株に比べてやや低いが、わい化系統ほど大きな差は生じない。SPAD値は、移植後しばらくの間,6月上旬までは大きな差はないが、7月に入るとわい化系統感染株は他の株と比較してSPAD値が10以上大きくなった。 ビデオカメラで撮影した動画の一コマをwindowsのBMPファイルとして保存し、これをさらに扱いやすいようにPPMファイルに変換した上で、各画素のRGB値をHLS値に変換し、HLS表色空間に投影して植物体のみを抽出した。生育後期になると健常株とわい化系統感染株は、枯れあがってH(彩度)の値が小さくなるが、黄化系統は枯れあがりが遅いため,Hの低くなる時期が遅れる。生育ステージごとに植物体の彩度を比較することで,健常株とわい化病感染株の区別が可能であると考えられる。
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