平成20年度はダイズ条間走行のためのロボットを設計、試作した。ロボットは旋回性を高くするため左右独立したDCブラシレスモータによる駆動輪2輪、キャスタ輪1輪の3輪構造とした。作物列の検出のためにロボット前部にレーザ測域センサを、ロボットの進行方向の計測のために姿勢センサを搭載した。このほかダイズ株の状態を記録するためのカメラ、位置計測のためのDGPS受信機を搭載した。測域センサのデータから作物列とロボットとの相対位置を計算し、進行方向を決定するアルゴリズムと、作物列とロボットの相対位置から条間走行のための車両制御アルゴリズムを開発した。 平成18年から19年にかけて行ったダイズわい化病と健常株の識別手法の開発で、人工光の条件下でカラー画像のRGBデータをHLS変換し、H(彩度)に着目して植物体のみ抽出したが、さらに記録した画像の解析を進めたところ、わい化系統感染株は播種後4週間から8週間では健常株と比較して緑が濃く、黄化系統感染株は播種後9週間以降で健常株と比較して緑が薄くなった。このことから夜間、光源をロボットに搭載して走行させ、ダイズ株の画像と走行軌跡を記録し、健常株の彩度と記録したダイズ株の画像の彩度を比較することで、播種後4週間から8週間でわい化系統感染株の感染マップを、播種後9週間以降で黄化系統の感染マップを作成することができると推定できた。今後は実際のほ場で走行、記録実験を行い、目視等による観察と比較することで本調査手法の精度が評価できる。
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