平成18年度はプロラクチン放出ペプチド(PrRP)とニワトリヒナの摂食行動の関わりを明らかにするとともに、PrRPと体内代謝との関係について検証した。 まず、PrRPがヒナの摂食行動を実際に促進するかについて調べるために、3種類のPrRP(それぞれ20、31、32アミノ酸残基)を脳内投与した後の摂食量を調べたところ、31、32アミノ酸残基のPrRPを投与した場合にヒナの摂食量が増加した。また、これらのPrRPを末梢投与しても摂食量が増加する傾向が見られたことから、PrRPはヒナの新規摂食促進ペプチドである可能性が高いことを見出した。なお、この摂食促進作用は卵用種ヒナと摂食量が多い肉用種ヒナの両方で観察された。 また、PrRPを投与した後の血中代謝関連ホルモン濃度の測定を行ったところ、31、32アミノ酸残基のPrRPを脳内投与すると血中プロラクチンと成長ホルモン濃度が減少することが見出された。さらに、これらのPrRPを末梢投与した場合ではプロラクチン濃度には変化が見られなかったが、成長ホルモン濃度が減少した。これらの結果から、PrRPはこれらのホルモンを通してヒナの代謝に影響を与える可能性が示唆された。なお、これらのPrRPは副腎皮質ホルモンには影響を与えなかった。また、ヒナのエネルギー代謝測定のために既知の摂食調節ペプチドを用いてエネルギー代謝測定法の確立を試みた。 以上の結果から、(1)PrRPはヒナの種類に関わらず摂食を促進すること、(2)その摂食促進作用にはオピオイド系が関与していないこと、(3)PrRPはヒナの代謝に関わっている可能性があることを見出した。現在、これらの結果を投稿論文として取りまとめている段階である。
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