平成19年度はプロラクチン放出ペプチド(PrRP)と体内代謝との関係について明らかにすることに加え、PrRPの摂食促進効果に関わる脳部位の特定を行った。 脳内摂食調節因子には摂食行動だけではなく、動物のエネルギー代謝に関わっているものも少なくないことから、PrRPとエネルギー代謝との関係について調べた。その結果、PrRP31または32の脳室投与による酸素消費量およびエネルギー消費量の変化は見られなかったが、呼吸商の有意な低下が観察された。この結果を基に、PrRPがヒナの血中代謝関連物質の変化にどのような影響を与えるかを調べたところ、血中遊離脂肪酸の有意な増加が確認された。したがって、脳内PrRPは脂質代謝に影響を与えている可能性を見出した。これら結果は投稿論文として取りまとめている段階である。 次に、PrRPによって活性化される脳部位を特定するために、Fosを標的とした免疫組織化学法の確立を行った。これにより、Fos検出のための実験条件を確定することができた。 最後に、PrRPの摂食促進作用はニワトリヒナでのみ観察されている独自の効果であることから、その作用機序解明の糸口をつかむために、PrRP以外のヒナの新規摂食調節因子の探索を行った。いくつかの候補因子の調査の後、一酸化窒素と性腺刺激ホルモン放出抑制ホルモンがヒナ独自の作用を有することを明らかにした。今後、これらのヒナ独自の摂食調節因子の作用機序を解明し、PrRPの研究に有効活用する予定である。
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