研究概要 |
クラミジア感染症の制御を最終目標に、以下のようなアプローチを行った。 1.クラミジアおよびクラミジア感染細胞のプロテオーム解析 オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)の株および感染特異的に誘導される蛋白質を同定するため、2次元電気泳動によりC.psittaci菌体もしくは感染細胞を展開した。現状の装置では蛋白質スポットの分離が不十分であったため、新規装置を追加購入し解像度の向上を図った。現在、C.psittaciヒト集団感染時分離株(Mat116)の精製菌体構成蛋白質の展開と実験室標準株との比較を行っている。 2.ネコクラミジア感染特異抗原CFO218の性状解析 ネコクラミジア(C.felis)ゲノムライブラリーを感染ネコ血清にてスクリーニングすることにより得た抗原CFO218の性状解析を行った。C.felis実験感染ネコにおいて抗CFO218抗体は,不活化ワクチン接種では上昇せずC.felis感染後に初めて上昇した。またCFO218は感染細胞においてC.felis封入体と共局在していた。CFO218のm型分泌機構(TTSS)により菌体外への分泌されるエフェクターである可能性を検討するため、赤痢菌体内で発現可能なコンストラクトを構築し、現在丁rSS依存的な分泌を検討している。 3.我が国の飼いネコにおけるC.felis感染抗体保有状況の大規模調査 ネコクラミジア感染に関しては、2002年より不活化ワクチンが市販されており、ワクチン接種ネコと感染ネコの鑑別が重要である。抗CFO218抗体検出ELISAの系を樹立し、ワクチン接種歴の明らかな飼い猫血清714検体の大規模疫学調査を行った。その結果飼いネコは普遍的にネコクラミジアに感染しており、CFO218を抗原としたELISAは,感染ネコとワクチン接種ネコの鑑別に有用なことが示された。
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