In vivo実験の基盤として、まず犬骨肉腫細胞株POSおよびその肺高転移株HMPOSを用いて抗癌剤感受性試験の手法としてMTTアッセイを選択し、一般的に用いられている各種抗癌剤の感受性を評価したところ(濃度は臨床使用量で到達する血中濃度)抗癌剤の種類によって感受性が異なることが確認された。一方、血管新生阻害剤であるTNP-470を作用させたところ、抗癌剤は概ね1-10μg/mlの濃度で効果を示すのに対して、同じ薬剤濃度でほとんど効果を示すことはなかった。しかしながら細胞毒性量の高濃度では増殖抑制効果が認められ、高用量での細胞毒性は存在することがわかった。 また、この血管新生阻害剤単独での使用による動物腫瘍を用いた腫瘍成長抑制効果については未だ示されていないことから、これを基礎実験としてHMPOS犬骨肉腫細胞株で検証することとした。その結果、イヌの骨肉腫細胞株において、細胞毒性量でなとも腫瘍成長を抑制することが判り、血管新生阻害剤によるin vivoでの効果が示された。 しかしながら、この実験を行う課程でHMPOSの肺高転移性の性質が減弱していることが判明したため、再度肺高転移株を安定化させるための実験を行った。その結果移植後約2週間程度で顕微鏡レベルでの肺転移巣を作り出すことができ、安定した細胞の性質に復元することができた。 今後は以上の結果を用いてさらに詳細に検討を進めていく予定である。
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